会社員のときは税金も年末調整のための書類を提出するだけで、面倒な手続きや調整はすべて勤め先が行ってくれていました。
別の収入がない人ならば特に何も考える必要はありませんが、フリーランスになった人は自分で処理をしなければいけません。
健康保険の加入も手続きが必要です。最低限の知識がなければ、必要な手続きを見逃すこともあります。
損をするだけならまだマシですが、罰則を受けるのは問題です。
そこで今回は、「フリーランスが絶対に知っておくべき税金や保険の知識」を解説します。
フリーランスに必要な税金や保険の知識を解説するので参考にしていただければ幸いです。
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目次
フリーランスが支払う税金の種類
フリーランスを始めたばかりの人は、税金の支払いや保険の加入に関する義務を忘れてはいけません。
会社員のときはいつの間にか手続きが済んでいた処理も、すべて自分で行います。
まずはフリーランスに支払いが生じる税金の種類を確認しておきましょう。
所得税
所得税とは、個人の所得に課税される税金を指します。
所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。
所得税は、1月1日から12月31日までの所得から、控除を差し引いた金額に税率を乗じて算出されます。
税率は、金額により上がる「超過累進税率」が採用されているため、所得が高額になればなるほど納める税金も高額です。
所得税を抑えるためにも、所得額が圧縮できる「控除」や「必要経費」を漏れなく計上しましょう。
漏れをなくすためには知識が必要です。
控除の種類
フリーランスが適用できる可能性のある主な控除は次のとおりです。
フリーランスが適用できる可能性のある主な控除
基礎控除すべての納税者から一定額が控除される
雑損控除突発的な災害や損害を受けた
医療費控除1年間で一定額を超える医療費を支払った
寄付金控除国や地方公共団体、特定公益増進法人などに「特定寄付金」を行った
社会保険料控除:会保険料を支払った
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済で掛け金を支払った
障害者控除本人もしくは配偶者、扶養親族が障害者や特別障害者の場合
寡婦(夫)控除配偶者と離婚や死別をした後、婚姻をしてない場合
勤労学生控除納税者が勤労学生で一定の要件を満たしている場合
生命保険料控除支払った生命保険料に対し一定の金額を控除
地震保険料控除支払った地震保険料に対し一定の金額を控除
配偶者控除配偶者の所得金額に応じ一定の金額を控除
雑損控除配偶者控除の枠を超える場合に受けられる一定金額の控除
扶養控除控除対象扶養親族の所得金額に応じ一定の金額を控除
青色申告特別控除青色申告で確定申告を行い、かつ一定条件を満たすことで受けられる控除
控除の種類はさまざまです。適用される控除があるにも関わらず節税対策をしないのはもったいない行動ではないでしょうか。
最初のうちは、控除に適用される支払いかどうかを確認しながら支払いを行うことが大切です。
経費の考え方
経費とは、運営をしていくうえで発生した費用を指します。
節税をするためにも、経費に対する知識が必要です。
「具体的にどうすればいいの?」と思われるかもしれませんが、まずは必ず領収書を保管することに努めましょう。
保管した上で、経費に該当するかの判断をします。
売り上げのため関連会社と打ち合わせをしたときの昼食代は、状況によっては経費に該当するかもしれません。
的確に経費を算出し、節税対策を講じることがおすすめです。
また計上した経費の領収書は保管義務がありますので処分をしないよう注意をしましょう。
復興特別所得税
復興特別所得税は、「東日本大震災」の復興に用いられるために創設された2013年から2037年までの税金です。
基本所得税額に2.1%が課されます。
復興特別所得税は所得税の納付者に課せられる税金です。確定申告が必要なフリーランスも対象となります。
住民税
住民税とは地方税のひとつです。行政サービスを運営するための経費として利用されます。
確定申告をすることで情報が共有されるので、確定申告を行えば問題ありません。
住民税は「所得割」と「均等割」を合わせた地方税です。
所得割は課税所得の10%が課税され、均等割は4,000円が課税されます。
また、住民税にも復興特別税が2023年度まで加算されるので、知識として覚えておきましょう。
個人事業税
個人事業税とは、所得に応じて事業所の所在地として申請をしている都道府県に納める地方税を指します。
個人事業税の特徴
所得の合計が290万円を超えた場合
税率は業種によって異なる(3%から5%)
納期は8月と11月の年2回
確定申告を行うことで自動的に納付書が送付されます。
また、業種によっては非課税になるかもしれません。
例えば、準委託契約で収入を得ているシステムエンジニアやプログラマーは当てはまらない可能性が高いです。
消費税
消費税とは、サービスを提供することで課せられる税金のこと、消費者が負担して事業者が納税する間接税です。
フリーランスも、課税対象となれば消費税を納税しなければいけません。
課税対象者は、2年前の年間課税売上高が1,000万円を超える場合です。設立から2年以内は、免税事業者に該当します。
ただし資本金など一定の条件を超えることで設立当初から課税事業者になるかもしれませんので注意をしましょう。
フリーランスでも、年間課税売上高が1,000万円を超える場合は税理士などに相談するのがおすすめです。
会社員よりも多くの収入を得られた成功者は、節税対策を含め早い段階で相談をするようにしましょう。
国民健康保険料(税)
会社の退職とともに社会保険もやめた場合、国民健康保険に加入しなければいけません。
市区町村によっては国民健康保険税として徴収している地方自治体もあります。
国民健康保険としての内容に違いはなく、徴収方法が異なるだけです。
2種類存在する理由は、強制加入の意識を高めること、「保険料」よりも「保険税」とした方が、意識が高まるためと言われています。
保険料(税)は、前年の所得に応じて金額が決定する点も同じです。
保険料(税)を抑えるには、節税対策をするしか方法はありません。
国民年金
国民年金は、日本に在中している20歳から60までの人が40年間にわたり納付し続ける義務があります。
会社員でなくなった人は、国民年金に加入し保険料を自分で納めなければいけません。
事情があり払えない場合は、免除や納付猶予などの利用ができます。
手続きをなにもせず滞納をすると、年老いてから受け取る金額に影響がでるかもしれません。
支払い金額は毎年見直され、確定申告の時に控除されます。
フリーランスが絶対に知っておくべき税金や保険の知識
国民健康保険への加入以外の選択肢
フリーランスは必ず国民健康保険に加入しないといけないわけではありません。他にも次の選択肢があります。
・任意継続で加入を継続
・国民健康保険組合に加入
・家族の扶養に入る
状況に応じ度の選択肢が良いかは異なります。現在の状況と先のことを考慮しながら検討をするべきです。選択肢の内容を詳しく解説します。
任意継続で加入を継続
会社員として勤めていた企業で加入していた社会保険に、辞めた後も任意継続として加入し続けることができます。
任意継続の条件は2カ月以上の加入です。2カ月以上の加入で、最大2年間の任意継続ができます。
任意継続のメリット
扶養家族が多い場合は任意継続がおすすめ
退職金が高額な人は任意継続がおすすめ
サービスが引き続き受けられる
国民健康保険は、家族全員の保険料を納付しなければいけません。
しかし任意継続の場合は、一定条件を満たすことで、扶養家族の保険料の支払いが必要なくなります。扶養家族が多い人にはお得なメリットです。
また、高額な退職金が受け取れる人も任意継続をおすすめします。退職金により一時的にも所得が高額になると、国民健康保険料が上がり負担が増えるかもしれません。
前年度の所得によって金額が変わる国民健康保険よりも、任意継続の方が安くなります。
さらに、健康保険組合が提供しているサービスも継続して利用ができるのもメリットです。
健康保険によって内容は異なりますが、保養所の利用ができる組合もあります。
健康診断などの補助が受けられるサービスもあるので、確認してから判断をするようにしましょう。
ただし、任意継続は2年間しか加入ができません。また、滞納をした場合は即座に解約されます。
保険料も会社からの半分負担がなくなり全額自己負担です。なんだか損をしている気分になるかもしれません。
しかし、国民健康保険よりは安くなる可能性が高いのが任意継続です。
国民健康保険組合に加入
国民健康保険は次の2つに分類されます。
国民健康保険の分類
地域医療保険 市区町村で運営をする保険
国民健康保険組合 業種ごとに集まって作られる保険
特定の業種でフリーランスを営んでいる場合は、国民健康保険組合に加入することが可能です。
地域医療保険との違いは、保険料が固定で支払えること、前年の所得で変更されません。高収入のフリーランスならば、国民健康保険組合に加入する方がお得です。
家族の扶養に入る
フリーランスでも、条件を満たしていれば家族の扶養に入れます。
社会保険に加入している人の扶養になることで、保険料の負担がなくなる方法です。
しかし社会保険ごとに年収の制限があります。年収150万円以下が条件の場合、収入を制限しなくてはいけません。
フリーランスになった意味がなくなることから、あまりおすすめできない方法です。
必ずしも国民健康保険に加入しなければいけないわけではありません。
状況に応じ、自分の一番良い方法を選択するようにしましょう。
フリーランスの節税ポイント
先ほど説明をした控除に関しては知識があれば判断がしやすいですが、経費に関しては「業務に関連しているかどうか」が判断基準です。
フリーランスを始めたばかりの人は判断が難しいかもしれません。次の主な例を参考にしてください。
フリーランスの節税ポイント
交通費 打ち合わせなどで利用した「電車」「バス」「タクシー」などの運賃
消耗品 仕事で利用する事務用品
接待費 取引先との食事代
通信費 仕事で利用をする「携帯電話」「輸送費」「プロバイダー料金」などの費用
家賃 オフィスの賃料
光熱費 オフィスで利用した電気や水道代
自宅を兼用している人は「家事按分」を適用しましょう。
「家事按分」とは、家賃など支出がプライベートと混じっている場合に比率で経費に計上する方法です。
登録した事業用比率により算出ができます。
また、経費を増やそうとして高額なものを購入するのでは意味がありません。「節税」のために「浪費」を行うのは本末転倒です。
経費は、業務に関連している必要なものだけを購入するようにしましょう。
税金が払えないときの対応策
フリーランスは、会社員と違い給料から税金が引かれません。
最初のうちは「収入がすごい」と勘違いする人もいます。
しかし、ただ単に税金や保険料が引かれていないだけです。調子にのって浪費をすれば、税金が支払えない状態になるかもしれません。
もし、税金が支払えない場合は「延納」や「猶予制度」を利用しましょう。
問題なのは、払えないからと言って放置をすることです。フリーランスになりたての頃は、金銭感覚がズレる人もいます。
入金された金額が全て自由になるわけではないことを、肝に銘じておくことが大切です。
まとめ
「フリーランスが絶対に知っておくべき税金や保険の知識」を解説しました。
フリーランスは、税金や保険に関しても自分で処理をしなければいけません。
事務作業をするのは自分自身です。なりたての頃は、勝手がわからず後回しにする人もいます。
目先の仕事を優先する気持ちもわかりますが、結局は自分で処理をしなければいけません。残した領収書も、後になれば記憶が薄れます。
確定申告は年に1度のことかもしれませんが、できれば定期的な整理を心がけましょう。
確定申告の時期に慌て、経費の計上ができなくなれば利益が減ります。
保険に関しても最初に検討することで保険料を削減できるかもしれません。
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