フリーランス元年は、「確定申告」の壁にぶち当たります。
ほぼ全員と言っても過言ではありません。
「経費にできるのは何?」「領収書がないから経費にできない?」「そもそも経費って何?」など、わからないことが多すぎて仕事に影響がでている人はいませんか?
初めての確定申告で慎重になる気持ちもわかります。
適当に処理してしまい後で痛い目にあいたくはありませんよね。
そこで今回は、フリーランスが知るべき「経費と節税のルール」10選を解説します。
後回しにするのは良くありません。面倒なことはためずに、早い時期から準備を始めておきましょう。
目次
フリーランスが知るべき経費とは
経費とは、事業を行うために使用した費用です。
フリーランスを始めた人は所得を算出し確定申告を毎年行わなければいけません。
所得は「収入-必要経費」で算出し、納税金額は総所得に税率をかけることで決定されます。
つまり所得が下がれば納税金額も下がるので、収入を得るために利用した経費の見極めが重要になるのです。
ここまではフリーランスを始めたばかりの人でも、何となく把握している内容ではないでしょうか。
多くのフリーランスが不安を抱く内容は、「何が経費?」「確定申告時に経費として証明する方法は?」「節税対策は何があるの?」などです。
不安を解消するためにも、次から説明をするフリーランスが知るべき「経費と節税のルール」10選を参考にしてください。
フリーランスが知るべき「経費と節税のルール」10選
フリーランスが知るべき「経費と節税のルール」10選
- 確定申告までに経費計算をする
- 経費の基準
- 領収書の保管
- 出金伝票の活用
- フリーランスが知るべき経費にできる項目一覧
- 開業準備費とは
- 減価償却資産とは
- 家事按分とは
- 小規模企業共済の活用
- ふるさと納税の利用
詳しく解説をします。
確定申告までに経費計算をする
確定申告とは、フリーランスで得た利益にかかる税金を計算して精算する手続きのことです。
確定申告をすることで、次の税の請求が行われます。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
1月1日から12月31日まので間に得た所得に対し課せられる税金です。
翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をして、決められた期日までに納税をします。
余裕な日数に見えるかもしれませんが、フリーランスを始めたばかりの人には大変な作業です。
経費を後から洗い出す作業は非効率、ためないように処理をしておきましょう。
事務作業を面倒と考えている人は、領収書やレシートをだけを保管し後回しにします。
そして、確定申告の期日がせまり焦るのです。
- 領収書やレシートを見ても何の経費か思い出せない
- 領収書やレシートを紛失するケースもある
- 本来ならば計上できる経費だが「忘れる」「面倒になる」ことで所得が増えてしまう
- 本来払わなくて良い所得税額を課せられる
確定申告の内容により先ほどの3つの税金に影響がでます。
本来ならば支払う必要のない税金まで納めるのは無駄です。
フリーランスを始めたばかりの人の多くは、経費計算の大切さを確定申告で気が付きます。
できれば1年目からルールをつくり、しっかりと帳簿を付けて経費計算を毎週する癖をつけておきましょう。
経費の基準
こまめに帳簿を付けるのは絶対に必要なルールです。
領収書やレシートをこまめに整理することで、慌てる事態を防げます。
ただ、始めたばかりの人は「これって経費にいれていいの?」という疑問が生じるはずです。
フリーランスの仕事に関する経費の基準は「利益に関係しているか」で決まります。
ただし明確に法律で範囲が決められているわけではないので、自分自身で判断しなければいけません。
「自分で判断できるのならば、領収書やレシートがあるものは全て経費にすればいい」と考える人もいますが、「利益に関係している」と税務調査官に理解してもらえなければ延滞税が課せられます。
自己都合で良い方に判断するのはいけません。
だからと言って慎重になりすぎるのも問題です。この辺はタイプによって考え方が異なります。
節税をするためには、自分なりのルールを決めておきましょう。おすすめのルールは次のとおりです。
- 経費だと胸を張って言える
- 後ろめたいことがない
- 申告に虚偽がない
支出が上記の内容をクリアしていれば経費として計上します。
ただ、上記のルールでも判断に個人差がでるので注意をしましょう。
例えば「昼食代」です。「フリーランスは体が資本、昼食を食べるのも利益を出すために必要」と、都合の良い解釈をする人もいます。
しかし、昼食は仕事をしていなくても取ることから経費とは言えません。
ただし昼食を取りながら会議や打ち合わせをしたのならば話は別です。
人数や会議をした資料により胸を張って証明ができる場合は経費として計上ができます。
また、上記の状況で昼食代を割り勘にしていたにも関わらず、全てを支払ったかのようにするのは虚偽です。
他人から領収書やレシートをもらって計上するのと同じ行為なので絶対にしてはいけません。
「ならば経費になることにどんどんお金を使おう」と考える駆け出しフリーランスもよく見かけます。
例えばパソコンを必要台数以上に購入するなど、無理やり経費を増やそうとするのも問題です。
度が過ぎるとただの浪費になり、フリーランスとして存続ができなくなるかもしれませんので注意が必要です。
経費の基準は帳簿を付ける時に重要です。
胸を張って「経費です」と言えるものを帳簿にまとめておきましょう。
領収書の保管
領収書は必ず保管をしておきましょう。
フリーランスを始めたばかりの人は稀に、「確定申告時に領収書やレシートも提出する」と勘違いをしています。
領収書やレシートは提出しません。ただし下記の保管義務があります。
- 白色申告 5年保存(帳簿は7年)
- 青色申告 7年保存
税務調査が行われた際に、領収書やレシートを証拠として提示できなければいけません。
どちらにせよ、7年以上保管しておけば大丈夫です。
また、保管方法も自分なりのルールを決めておきましょう。
保管方法の一例
- 領収書と説明できる資料をクリップでまとめる
- 月ごとに封筒へしまう
- 月ごとの封筒を大きな封筒に年度ごとでしまう
税務調査が行われたとき、資料が整理整頓されていると印象が良くなります。
税務調査をするのも人間です。
出金伝票の活用
証明をするために必要と思われるかもしれませんが、「出金伝票」を活用すればなくても問題ありません。
出金伝票とは、お金のやり取りを記録しておくための伝票です。
セミナーに参加したときなどは、領収書が発行されないこともあります。
領収書がないときは、出金伝票に詳細を記入し参加したセミナーの資料と一緒に保管をしておけば問題ありません。
公共機関を利用した交通費にも利用をしましょう。出金伝票に記載する項目は次のとおりです。
出金伝票に記載する項目
- 日付
- 支払い相手先
- 勘定科目
- 内容
文房具店や100円ショップで手に入ります。エクセルで作成をしても大丈夫です。
ただし、あまりに多用をすると税務調査のときに怪しまれます。また、高額な金額も同様です。
領収書がないときは出金伝票の活用ができますが、できるだけ領収書やレシートをもらうようにしましょう。
高額な金額で出金伝票を利用するときは、明確な資料を添付することが大切です。
フリーランスが知るべき経費にできる項目一覧
帳簿を付けるときには、見出しに勘定科目を利用します。
勘定科目とは、経費の性質をわかりやすくまとめるラベルのようなものです。
フリーランスがよく利用する必要経費の勘定科目一覧を確認しておきましょう。
- 租税公課 固定資産税や事業税、印紙税など
- 地代家賃 事務所などの家賃
- 水道光熱費 事務所で利用をした光熱費
- 通信費 携帯電話やインターネットの通信料
- 接待交際費 接待などの食事代
- 新聞図書費 スキル向上のためなどに購入した書籍や雑誌などの代金
- 荷造運賃 切手代や小包の輸送費
- 旅費交通費 交通費や宿泊代
- 消耗品費 10万円未満の消耗品
- 減価償却費 10万円以上のもの
- 外注工賃 ブログの作成など外注した際の費用
- 支払手数料 振込手数料など
- 未償却の繰延資産 開業準備費など
- 保険料 損害保険料など
フリーランスでも従業員を雇用していれば「給料賃金」「福利厚生費」も利用します。
胸を張って経費と言えるフリーランス存続のための支出を、上記の項目別に整理しておきましょう。
フリーランスが知るべき「経費と節税のルール」で得に理解が必要なのは「開業費」「減価償却資産」「家事按分」の3つです。
開業費とは
開業費とは、フリーランスを始めるために支出した費用のことです。
フリーランスとして開業をする前はいろいろと出費があります。
準備のために使用した経費は開業費として計上し節税をしましょう。
主に次の内容が開業費に該当します。
- 参加したセミナー費用
- パソコンの購入
- 備品の購入
- 打ち合わせなどの交際費
- 交通費
- 通信費
- 名刺の作成費用
- サーバー費用
上記の項目でフリーランスとして開業をするために必要な経費ならば、開業費として計上ができます。
明確な決まりはありませんが、開業届けを提出される日からさかのぼって1年ぐらいが目安です。
単品で10万円以上の品物は「固定資産」としての資産計上が必要になるので注意をしましょう。
開業費は節税に役立ちます。開業をする前から経費のルールを開始しておくことで節税効果になるのです。
減価償却資産とは
減価償却資産とは、購入価格が1単位あたり10万円以上で耐久性のある資産を指します。
フリーランスとして仕事を始めるには、パソコンの購入が必要です。
スペックの高いパソコンは10万円以上のものばかり、フリーランスでも減価償却資産は関係してきます。
10万円を超える資産を、耐用年数に応じた期間で経費処理するのが減価償却です。
耐用年数は法令により定められているので、10万円以上の物を購入するときはあらかじめ確認をしておきましょう。
家事按分とは
家事按分とは、フリーランスの仕事を自宅でしている場合に発生します。
生活費と事業経費が混在する状況下で事業分の経費のみを計上することです。
主に、フリーランスの仕事を在宅ワークで行っている人は家事按分の計上ができます。
反対に、企業と契約をして常駐で働くフリーランスの人は計上が難しいです。
- 家賃
- 電気、水道、ガスなどの支払い
- インターネットや携帯料金などの通信関連
配分に関し明確な基準はありません。
相手が納得するだけの説明ができるかどうかです。
例えば家賃の場合、フリーランスの作業場として利用している延べ床面積の割合で算出すれば相手も納得します。
大切なのは客観的に算出することです。
認められなければ追加で徴収されます。
割合はルールとして一度決めてしまえば、状況が変更しない限り利用し続けられるので、算出をするときは客観的に見て違和感のない割合を導き出しましょう。
小規模企業共済の活用
制度を利用して上手に節税することも大切です。
フリーランスにおすすめの節税対策が小規模企業共済の活用、個人事業主の退職金とも呼ばれています。
国の機関である中小機構が運営をしているので、所得控除の対象です。
小規模共済のポイント
- 月々の掛け金は1,000円~70,000円で、500円単位で変更可能
- 確定申告の際に全額を課税対象所得から控除できる
- 共済金を受け取る時期は「退職」「廃業」のいずれか、満期はありません
- 一括受取りは退職金所得扱い、分割受取りは公的年金等の雑所得扱いで節税ができる
- 低金利の貸付制度がある
退職金のないフリーランスだからこそ魅力がある制度です。
掛け金の変更もできます。節税対策につながる制度を上手に活用しましょう。
ふるさと納税の利用
ふるさと納税とは、古郷や応援したい自治体に寄付をする制度です。
寄付金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。
自己負担額の2,000円を除いた金額が控除の対象です。
寄付をすることで地方の特産品(お礼品)がもらえます。
ふるさと納税はフリーランスだから利用する制度ではなく、広く一般的に利用されるべきおすすめの節税対策です。
まとめ
フリーランスが知るべき「経費と節税のルール」10選を解説しました。
「経費と節税のルール」は、フリーランスを継続させるためにも必要です。
「なんだか面倒」と感じた人は損をします。
節税ができるにも関わらず行動しないのは、経営者として残念な考え方です。
しかし度が過ぎてもいけません。客観的に見て違和感がないかの確認が必要です。
フリーランスを始めたばかりの人は、ルールを守って適切に節税対策することをおすすめします。
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